錦山まる『マンガでわかる うつ病のリアル』感想

こんにちは。こまです。タイトル通り、Twitterで話題の本(インスタやフェイスブックはちゃんと見てないので知りません)を読んでみました。

今の私はうつ真っ只中からは抜け出し、自分でも元気と言えるような言えないようなよくわからない状態なのですが、「ああこんな時期もあったなあ」と共感できることが多かったです。

響いたポイント

うつの当事者ほど「こんなに休んだり遊んだりしていていいのか、本当は病気ではなくただ甘えているだけなんじゃないか」と思う、というような話にはすごく共感、安心しました。私もそう思っていましたし、今も生理前や天気の悪い日にひどく落ち込んで何もできないことがあると自分を責めてしまいます。これはどう頑張っても抜け出せない考えなのかもしれないとも思います。でもそういう状況で周りの人からも「そんなの甘えでしょ」「つらいのはみんな同じだからお前だけ休んでないで働けよ」などと言われたらうつが悪化するのは明らかだと思います。

あと民間療法や筋トレ、断薬を勧めてくる人って本当にいますよね。私も「精神科の薬なんて飲み続けてたらやめられなくなるから気をつけなね」的なことを同級生に言われました。20歳とかですよ?ただの大学生。本当に、他の病気で置き換えたら素人が意見するなんてありえないのに対象がうつ病だとよくある話になってします。それだけ世の中の人がうつ病というものについて知識の代わりに偏見を持っているということなんだと思います。

そういうことが減るように、周りの人向けにお願いしたいことを書いているというのがすごく新鮮でした。しかもその説明がわかりやすい。

うつの治療をしているときって、症状自体もつらいけど、周りの理解が得られなくて孤独に感じるのもすごくつらいと思います。それをこの本が少しでも和らげてくれたらいいなあ。私がうつ真っ只中だったときに家族や友人、恋人に読んでもらえたら私の心が少し救われていたのかもしれないなあと思います。

あと、うつ病でも体力と気力があるときに出かければ元気そうに見られるけどそれは続くものじゃないから大変なんだっていうような話もすごく共感しました。私も本当は全然元気じゃないときに「元気そうだね」と言われて「ああわかってもらえない」と悲しくなったことがあるから。てか何よりうつの治療中でもインターンに参加して「コミュ力高い」とほめていただいたことも面接受けて内定もらったこともありますからね。そう簡単に見抜けるものではないですよ本当に。うつ病だってカミングアウトしてもあんまり信じてくれない人もいるぐらい、私は活発に見えるらしいです。家ではよく死んでますけどね。(うつなのに内定もらっていいのかってことは私も悩んでいるのであまり否定しないでもらえると助かります。寛解して元気な状態で入社するつもりではあります。)

発見

人混みが苦手になるのもうつ病の症状の一つだったんですね。というか、それはうすうすわかってはいたけど、同じような人がいて安心しました。私は外出できるようになっても、人混みを前にすると呼吸が苦しくなりゾワゾワするような感覚がありました。人にぶつからないように意識して歩かなければいけないというのもありますが、私の場合は究極のネガティブで「私なんかがこんなところを歩いて他の人の通行の邪魔をしていいのだろうか。早く死んで他の人が動くスペースを作った方がいいんじゃないか」っていう発想に走りがちだったというのもあるかもしれません。今だったらちょっと笑える、ぶっ飛んだ考えだけど(だってその理屈で言ったら全人類がお互いに死にあって滅びる)、その当時はかなり本気で思っていましたね……

文句もあります

ひとつ言わせてください。著者の錦山まるさんも意見はポジティブなものもネガティブなものも欲しいとおっしゃっていたので。

帯の文章、「重度のうつ病になり、5年以上苦しみついに自死を選んだ僕が」って書いてありますけど、これはちょっと誤解を生みやすいんじゃないかと思います。これを普通に読んだら5年以上うつ病で苦しみ続けた結果、自死を選んだというふうに受け取る人が多いのではないかと思うのです。が、実際は多分ちがいますよね?重度のうつ病と診断されて1年半ほど(?)闘病したものの自死にふみきり、運良く失敗し、それから4年ほど治療を続けて今に至る、ということですよね。多分。ちょっとここだけもやもやします。

もしこれが私の読解能力の低さゆえに起きた勘違いだったら、もしくは勘違いですらなかったら申し訳ないですが……

まとめ

おすすめしたいです。はい。どんな人にも読んでもらいたいです。当事者も、家族も、友人も、教師など人と関わる職業の人も、そうじゃない人も。この本で得た知識はいつか読んだ人やその周りの人を救ってくれると思います。

いっそのこと中学校の課題図書とかにしちゃってもいいかも。マンガはもちろん、文章も短くまとめてあって読みやすくわかりやすいです。

うつ病は誰でもなる病気、ちゃんと向き合っているみなさんはえらい、知識のなさと偏見が当事者を傷つけることがある、きっと元気になれる。

どん底まで落ちて、そこからなんとか復活(どころか成長)した人だからこそ書ける、こんなに響く内容なんだと思います。実は私は治療から半年ぐらいで逃げ出してしまったけど、もう一度ちゃんと病院に通って自分と向き合おうかなと思えました。

ありがとうございました。